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こんにちは! 福井大学教育学部 1年の 岡野未梨と竹越藍香です。
敦賀駅前公設書店ちえなみきが開業一周年を迎えるにあたって、2023年9月23日(土)・24日(日)、「ちえなみきに泊まろう」が開催されました。
日頃、福井市の文京キャンパスを離れ、ちえなみきで「知の共創」活動をしている、敦賀市出身の私たち2人も学生スタッフとして参加しました。この場を借りて、当日の様子をレポートします。
「ちえなみきに泊まろう」は本に囲まれながら店内で一夜を過ごすもので、抽選で18名のお客様が参加されました。敦賀市内在住者のみならず、遠方からも企画に参加され、初日の23日(土)は、22:00までの夜間特別照明の中、延長営業を経て、翌24日(日)8:00まで、ちえなみきの店内に設置されたハンモックに揺られながら、思い思い自由に過ごされました。
【初日:9月23日】
夜間営業中は普段よりも全体の照明が暗くなり、本棚のライトアップがより幻想的に輝いていました。また、二階の本棚の角や机の上には小さな丸いランタンが飾られており、“寝る前に小さな明かりをつけて少しだけ本を読む”という演出が施され、一種の憧れや特別感が感じられる空間でした。
参加者の多くは、普段からちえなみきを利用していて、中学生のAさんは「落ち着いた雰囲気が気に入っている」と話していました。企画開始時刻の22:00に近づくと、「ちえなみきに泊まろう」の参加者が、1階に集まってきました。まず、笹本店長より、開会の挨拶、参加にあたっての説明を聞きました。参加者の皆さんが待ち望んだ特別な時間を目前に、そわそわ、わくわくしているのが感じられました。
その後、敦賀市の老舗のお茶屋である中道源蔵茶舗からウェルカムドリンクが提供され、この日のために中道店主が取り寄せたという「抹茶・天王山の生大福」と上品な香ばしい香りの「茎ほうじ茶」を味わいました。
私たち2人もいただきましたが、大福は、抹茶をふんだんに使ったふわふわのクリームが口いっぱいに広がり、それを茎ほうじ茶の鼻に抜けるようなすっきりとした香ばしさで整えてくれました。
23:00からは1階の中道源蔵茶舗の飲食スペースで、参加者6名との共読会が催されました
笹本店長によれば、「編集工学研究所によるセミナーでの学びや、白川静さんと金子都美絵さんとのご縁から、新しい気づきが生まれるように」との思いで共読会を企画したとのことです。
共読会の参加者は、この企画のために一冊を持参することになっていました。持参された本は、自身が落ち込んでいるときに励まされた本や、一度手放したものの再読した本など、大切な思い出が詰まった本や、ちえなみきで出会ったばかりの本など様々ありました。まず、共読会の参加者は7分という短い時間で表紙や後書き、本の中身から気になる漢字を探していました。敦賀市在住のSさんは「漢字を10個も見つけることが難しかったです。読んだことがない本では7分しかなかったため、後書きを読んで漢字を見つけました。」と述べています。また、京都の高校美術教員のMさんは、「非常に楽しかったです。漢字を見つけるのも案外難しくなかったです。気づいたら1時間たっていたけど、もっと話す時間があってもよかったのかなと思います。」と感想を述べています。共読会の後、参加者らは、自分一人では決して出会えなかった本にこの企画を通して出会えたとして、新しい気づきについての会話を弾ませていました。
【二日目;9月24日】
夜が明けると、店内においしそうなお味噌汁の香りが広がってきました。これは、中道源蔵茶舗が、一周年企画のために特別に考案した朝食の香りでした。朝からほっこりと癒やされる優しい味のお味噌汁と餅米を使ったおにぎりでした。
8:00の企画終了に近づき、最後の企画であるブックカバー体験を、小学生の兄弟が挑戦していました。坂口副店長の手引きで、当日、購入した本に購入者自身でブックカバーをかける企画ですが、「思っていたよりも難しかった」と話していました。
一泊二日のお泊まり会を終えて、敦賀市在住の小学1年生 Bさんは、「本屋さんに夜泊まることは初めてで楽しかった」と言い、お母さまのKさんは「最近出産してバタバタしていたため、久しぶりに本をゆっくり見ることができてよかったです。目についた本を読みました。」と感想を寄せてくれました。また、同じく、敦賀市在住のSさんは、「とても楽しかったです。本とロケーションに囲まれてワクワクしていました。」とおっしゃいました。
【取材を終えて】
笹本店長は、「一周年企画に参加した方々が、本をきっかけに交流会をしている様子が見受けられ、嬉しかった」また、「夜通しの一体感や、普段できない体験を提供できて良かった」と述べていました。私たちの目から見ても、参加者が大好きな本に囲まれ、そして、子供から大人までが語り合う中で、初対面の参加者同士が本を通じた「つながり」が芽生えたことが、とても印象的でした。私たち自身も2日間、たくさんの参加者の皆さんにお話を伺い、本や読書を通じた交流することができました。
私たちは今、福井大学の活動の中で、敦賀における知の魅力を探究するプロジェクトを展開しています。本企画に参加して、図書館とも本屋とも違い、人と人とが本や知、地域を介してつながる場所としてのちえなみきが、まさに「知の魅力」そのものであると実感しました。この敦賀の地で、これからも人が集い「知」が広がっていく場であり続けていってほしいと願っています。
最後に、取材に快く協力してくださった、公設書店ちえなみき、参加者の皆さま、本企画の関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。
福井大学 教育学部 初等教育コース1年 竹越藍香 岡野未梨